線量評価・モニタリング

個人線量計

  • 放射線管理区域で作業を行う作業員(放射線業務従事者)が被ばくした放射線の量(線量)を測定する機器。
  • 個人線量計により被ばくの積算線量を知ることができる。
  • 電子式の直読式のものであれば、一定期間ごとあるいは作業ごとに、被ばくの程度を自分で確認することができる。
  • 放射線防護対策を検討するには、まず個人の被ばく量を把握する必要がある。
種類 特徴

ガラスバッジ、千代田テクノル(蛍光ガラス線量計:RPLD、0.1mSv – 10Sv(X/γ)(広範囲用))

ルミネスバッジ、長瀬ランダウア(光刺激ルミネセンス線量計:OSLD、0.01mSv – 10Sv(X/γ))

TLDバッジ、産業テック(熱ルミネセンス線量計、0.01mSv – 10Sv(X/γ))

・放射線が当たると線量に応じてガラスやプラスチック素子に情報が蓄積され、レーザー光等で刺激することで、線量に応じて発光し、その量から線量を推定する。

・電池が不要。

・測定サービス会社に返送し値を読み取るため、リアルタイムに線量を知ることが出来ない。

・電子式に比べ感度が低い。

電子式個人線量計

PDMシリーズ、日本レイテック

DOSEi、富士電機

・シリコン半導体に入射した放射線を電気信号として捉え、線量に換算する。

・リアルタイムに読み取ることが出来る

・感度が高い(0.1 μSvから検出可、*種類により異なる)

・一定の線量を感知すると警報(アラーム)やバイブレーションで知らせる機能のついているものもある。

・コイン電池等電源が必要。

・機械的衝撃に弱い。

・他の電磁波で誤作動を起こす可能性がある。

 個人線量計の例

末梢部(手指)測定用線量計

種類 特徴

ガラスリング、千代田テクノル

(0.1 mSv – 1 Sv、24 keV – 3 MeV(X/γ))

リングバッジ、長瀬ランダウア

(0.2 mSv – 1 Sv、15 keV – 6.3 MeV(X/γ))

  • 指輪型の線量計。中には個人線量計同様小さなガラス素子やTLD等が入っている。
  • 指先の被ばくが体幹部より大きい可能性のある場合、着用する。

水晶体線量線量計

種類 特徴

DOSIRIS、千代田テクノル

(0.1 mSv – 1 Sv、24 keV – 1.25 MeV(X/γ))

ビジョンバッジ、長瀬ランダウア

(0.1 mSv – 1 Sv、15 keV – 6.3 MeV(X/γ))

  • 中にTLDが含まれ、3mm線量当量を測定する。
  • 眼の近傍に配置し防護眼鏡による遮蔽効果を反映した線量を評価できる。

個人線量計の装着位置

 

外部被ばく線量の評価法

  • 放射線取扱者の外部被ばく測定は原則として個人線量計を用いて行う。
  • 線量計装着部位は胸部(妊娠可能な女性(女子)*は腹部)であるが、それら以外の体幹部(頭頸部など)が最大被ばく時はその部位も測定(1 cm線量当量、70μm 線量当量)する。
  • また手足指などが最大被ばくとなる時はその部位の70μm 線量当量も測定する。
  • 測定は、管理区域立入り中は継続して行う。
  • なお一時的立入者(放射線業務従事者以外)で実効線量が100 μSv を超えない場合は測定しなくてもよい。

ワイヤレス線量計システムの例

  • 透視手技中に手を触れることなくリアルタイムに画面表示、警告音等で被ばく量を示すことで、術者自身の被ばく状況や危険な場所を把握することができ、不要な被ばくの低減につなげることができる。

リアルタイム線量計(Raysafe i3)の使用例

  • 放射線防護板の高さによる術者の眼部、頚部、胸部、腹部の線量をワイヤレス線量計で表示
  • 透視照射時、線量率がカラーバーで表示(横軸は指数スケール)。
  • 防護板の位置が高いと頚部の値が高くなってしまう。(散乱線が患者から発生している)

Raysafe i3でのリアルタイム線量評価の様子

 

 

 

 

個人モニタリング結果の活用

放射線診療従事者が受けている値がどの程度のものか把握し、結果をフィードバックすることが大切

T. Fujibuchi, Development of a wireless multisensor active personal dosimeter-tablet system, Progress in Nuclear Science and Technology, 6, 73-76, 2019.

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