日本学術会議から、見解「医療従事者の職業被ばくに係る放射線管理の改善に向けて」が公開されました

日本学術会議から、見解「医療従事者の職業被ばくに係る放射線管理の改善に向けて」が公開されました(2023.9.19)。

見解「医療従事者の職業被ばくに係る放射線管理の改善に向けて」

見解の内容
(1) 医療機関内の放射線管理組織の構築
 放射線診療を行う医療機関には、医療従事者の放射線安全に関する事項を包括的に担当する放射線管理責任者を定めることが求められる。放射線管理責任者は医療機関の長の下で、内部の労働安全組織と連携して放射線安全のために必要な事項を行うこととし、その責務と権限を明示して医療機関内で周知する。政府には、各医療機関でこのような放射線管理体制を構築すべきことを定め、監査等で実現状況を確認することが望まれる。

(2) 医療機関内の放射線安全管理規程の策定
 放射線診療を行う医療機関には、放射線安全管理のための内部規程を定め、医療従事者の放射線安全に関する事項を包括的に定めることが求められる。当該規程に、放射線管理責任者、放射線作業従事者、放射線管理区域への一時立入者、管理区域における遵守事項、線量測定と線量管理、教育訓練、健康診断に関する事項等を明記する。政府が当該規程の策定に係るガイドラインを定め、これに基づいて関係学会等が具体的な規程例及び規程策定の手引きを示すことが望まれる。さらに、行政には、監査や届出により各医療機関の放射線安全管理規程の内容を確認し、必要な指導等を行うことが望まれる。

(3) 放射線安全のための教育の充実
 各医療機関には、放射線作業に関わる者に対して、放射線安全のために必要な教育を行い、放射線影響や放射線防護の一般的知識、放射線源の安全取扱い、関係法令や医療機関内規程に関する事項等を周知することが求められる。放射線作業従事前の教育に加え、従事開始後の定期的な再教育を実施する。また、放射線管理責任者には関係学会等による研修等の受講、行政機関には監査等で適切な教育の実施を保証すること、関係学会等には医療機関内教育の実施を支援することといった一連の対応が望まれる。

(4) 職業被ばくの個人線量管理の改善
 各医療機関は、個人線量測定の意義と方法を医療機関内で周知し、確実な実施を確認する体制を構築することが求められる。高線量被ばく者への対応方針を医療機関内の放射線安全管理規程に明示し、放射線管理責任者による適切な対応を保証する。行政機関には、各医療機関が適切な線量測定を実施して高線量被ばくに対応する体制を確立していることの確認が望まれる。

 

PAGE TOP