DXを活用した被ばく低減プログラム
Digital Transformation for Radiation Protection
放射線は目に見えないため、防護行動の効果を直感的に理解することが困難です。当研究室では、AR/VR/MR(XR)をはじめとするデジタル技術を用いて放射線の散乱・線量分布を可視化し、放射線診療従事者が「どこに立てば被ばくが少ないか」を体感的に学べる教育教材を開発しています。労災疾病臨床研究として、その有効性の検証にも取り組んでいます。


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XR可視化教材
AR/VR/MRで散乱線や線量分布を空間的に可視化し、防護の原理を直感的に学習。
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アクションチェックリスト
検査・部門ごとの被ばく低減アクションを整理し、現場での実践を支援。
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診療放射線技師の養成
保健学科・大学院での放射線防護教育と、次世代研究者・技術者の育成。
担当教育・指導
主な担当領域
| 学部 | 医学部 保健学科 放射線技術科学専攻(放射線管理学、放射線治療技術学 等) |
|---|---|
| 大学院 | 医学系学府 保健学専攻 医用量子線科学分野(放射線防護学 等) |
| センター | アイソトープ統合安全管理センター(併任・安全管理教育) |
医療従事者の被ばくの実態
なぜ放射線防護教育が必要か
放射線診療の増加に伴い、放射線科だけでなく循環器内科・消化器内科・脳神経外科・整形外科・泌尿器科などの医師や看護師も、X線透視を伴う処置で被ばくします。近年は水晶体(眼)の被ばくによる白内障リスクが問題となり、2021年に水晶体の等価線量限度が引き下げられました。
当研究室は、国立病院機構の放射線診療従事者 延べ4,493名・年の水晶体被ばくの実態を調査し、透視業務に携わる医師・看護師で線量限度(20 mSv/年)を超える可能性が比較的高いことを示しました(藤淵ほか, 日本放射線技術学会雑誌, 2021)。実態の把握と教育・防護の最適化が求められています。


放射線防護の3原則と防護具
時間
X線照射時間を最小限にとどめる。被ばくは照射時間に比例して増加します。
距離
線源・散乱線源から可能な限り距離をとる。照射野に手を入れない(照射野内外で線量が10倍以上異なります)。
遮蔽
散乱線源と作業者の間に防護板・防護具を配置する。あわせて装置の品質管理・照射条件の最適化・照射野の絞りも有効です。
防護具には、放射線防護衣(0.25–0.35 mmPb)・防護眼鏡・甲状腺防護具・防護手袋などの着用型と、防護板・防護カーテン・衝立などの非着用型があります。当研究室では、これらの効果的な配置を散乱線シミュレーションで検証しています。

DXを活用した被ばく低減プログラムの3本柱
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① 放射線防護教育ポータルサイト
説明・画像・動画・webVR教材とアクションチェックリストをまとめたサイトでインタラクティブに学習。理解度の分析も効率化。
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② 3次元放射線可視化教材
シミュレーションベースのVR/ARで散乱線分布を可視化。心カテ・ERCP・CT・外科用イメージに対応したARアプリを開発。
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③ リアルタイム被ばく警告システム
ワイヤレス線量計や散乱線可視化カメラと連動し、術者の被ばくをリアルタイムに推定・警告。

散乱線可視化ARアプリ「X-SERVE」
当研究室が開発する散乱線可視化ARアプリ「X-SERVE」(X-ray examination Scattered Radiation Visualize application)は、用途別に3種類あります。
・X-SERVE:CT等の散乱線を2D/3Dで可視化し、照射野中心からの距離・線量を表示。
・X-SERVE IVR:Cアーム透視用。角度や防護板の切り替えで散乱線分布の変化を観察。
・X-SERVE VD(Volume Data):任意断面の線量分布、スタッフの被ばく線量、カメラ位置での線量を表示し、防護カーテンの有無による違いも比較できます。AR表示と3Dビューア、ボディトラッキングの切り替えに対応。



関連プロジェクトサイト
放射線防護教育の成果は、以下のプロジェクトサイトでも公開しています。放射線防護の重要性、職業被ばくの実態、線量評価・モニタリング、部門別防護対策、アクションチェックリストなどの教材を提供しています。
動画 / Videos
散乱線の可視化・被ばく評価のデモ(研究室YouTubeチャンネル「lab fujibuchi」より)