プログラム内容
本プロジェクトでは、保健学科放射線技術科学専攻の学部生や大学院生を対象に、放射線防護のエキスパートとして放射線規制およびモニタリング双方に対する知識と技術を持ち、さらに放射線防護に関する研究能力、説明能力を養うことで、原子力災害を想定した様々な状況に応じた判断と対応ができる実践力・課題解決能力のある人材を育成します。そのために、下記の4項目(プログラム)を構築します。
1.放射線防護基幹教育プログラム(九州大、東北大相互で実施)
- 放射線防護・規制に関する講義(原子力規制庁職員による講師派遣を含む)
- モンテカルロシミュレーションによる放射線施設や環境、ヒトの線量評価演習
- 放射線・原子力事故と災害に関するリスクコミュニケーション、被ばく相談対応の演習
- 非密封RIの取扱い、放射線管理学実習(モニタリング、スクリーニングの実習を含む)
2.放射線規制人材育成プログラム(九州大学で実施)
- 放射線現場での放射線規制に関する課題について検討と議論の演習(問題解決型学習)トレーニング
- 医療用加速器の安全取扱に関するトレーニング
- 放射線施設の安全管理、事故対応に関する仮想現実(VR)技術を利用したトレーニング
3.原子力災害対応人材育成プログラム(東北大学で実施)
- 原子力災害対策派遣演習
・原子力災害避難訓練シミュレーション
緊急被ばく医療傷病者受入訓練などを実施。・スクリーニング実習等
体表面モニターやサーベイメータによるスクリーニング実習など。 - 原子力災害対応放射線防護トレーニング
・非密封RI等を用いた測定実習および遮蔽実験等
各種放射線検出器等を使用した測定と評価、および人体影響等の推定など。(ウエル型シンチレーション検出器や液体シンチレーション測定器等を用いた精密測定。表面汚染の測定と除染法の実習。防護具による放射線遮蔽効果の実習など。)・放射線生物実験等
被災動物試料や人体細胞のDNA等の分析実習など。(ヒト正常細胞のDNA損傷を可視化し線量依存的なDNA損傷誘発の観察。野生ニホンザル等の被災動物の血液細胞染色体を用いて自然発生及び放射線被ばくによる染色体構造への影響観察など) - 福島第一原発等のオンサイトでのトレーニング
・福島第一原発等での実習など
福島県内の関係施設(福島原発や除染土壌中間貯蔵施設、廃炉資料館、コミュタン福島等)において見学実習等を実施。
また実践力を養うために、原子力規制庁や大学のアイソトープセンター、放射線管理室等へのインターンシップに参加します。
4.放射線防護研究支援プログラム(相互で実施)
放射線防護に関する研究と議論を深めることで、研究能力と規制対応能力、一般市民への説明能力を養います。